+俺だけの・・・+ |
「あっ、センパイ!」 たまたま寄った書店で久しぶりに同じ部活だったセンパイと会った。 センパイの名前は吉岡作治(よしおかさくじ)。 背がすらりと高くてなかなかハンサムな作治センパイは、部での抱かれたい男NO.1だった。 「どうしたんですか? こんなところで」 「おお、麻美か。久しぶり!」 「センパイこそ。・・・アンパンマンの絵本ですかぁ? やだ、子どもっぽい」 麻美はいたずらっぽくふふっと笑い、でもかわいいと付け足した。 「あぁ、これな。俺、保育士目指してるから」 「保育士ですか? ぐ〜うぜん! 私も保母さん目指してるんですよ〜」 「うそ! ちょっとそこら辺で話していかない? 色々教えられると思うし」 「センパイのおごりで! おねがいしま〜す」 ちらりと舌を出した麻美に、作治センパイはコツンとげんこつ。 「こら。図々しい奴だなぁ。・・ミスドだぞ」 「やったぁ! 私オールドファッションとー、」 麻美と作治センパイは思いつくままドーナッツを言い合いっこしながら書店から出た。 その様子をこっそりと見ていた彼氏に麻美は気づくはずもなかった・・・。 お腹もふくれてご機嫌な麻美を待っていたのは、小林惇(こばやしじゅん)。 今、麻美と付き合っている男だ。 切れ長の瞳が鋭くて、少々冷たいイメージを人に持たせる。 その惇がうっすらと薄ら笑いを浮かべ、 「ちょっと俺んち来て」 とムリヤリ麻美の手首を握りしめ、すたすたと歩き出した。 「ちょっ・・・惇! 痛い、痛い、痛い。放して・・・」 訳も分からず、惇の家に引きずり込まれて狼狽する麻美は、あまりにも身勝手な惇に少なからず怒りを覚えた。 「何よ!! いきなり何にも言わな・・・」 突然唇をふさがれた麻美は激しくもがく。 あたかも水を求める魚のように。 しばらくは唇を押さえつけていた惇だったが、ふと、身を放し、 「お前が悪いんだ」 と、つぶやいた。 その切れ長の瞳には、怒りが炎のようにゆらゆらと揺れていた。 「えっ・・・」 自分が何か悪いことをしたのかと、問い返す間もなく麻美は惇に押さえつけられて、身動きもままならなかった。 驚いて声も出ない麻美の唇を、激しくむさぼりながら、麻美のブラウスのボタンに手をかけていった。 「やだ・・・っやだ、やめて、放して!」 惇の躰を押したり、叩いたり、蹴ったり、懸命の抵抗を試みたが、惇の腕力と麻美の腕力では勝敗は明らかで、麻美はあれよあれよという間に一糸まとわぬ姿とされてしまった。 惇は麻美の白い首筋に頭をうずめ、唇をはわせた。 そして、歯を立てるとがりっと噛んだ。 「いっ・・・」 麻美は声をあげたが惇は容赦なく、舌をはわせ続けた。 そして、気が向くとがりりと噛んで、麻美の躰に赤い跡をつける。 惇の瞳は怒りと欲望がござまぜになった激しい色を宿していた。 麻美の耳たぶともて遊びながら、囁く。 「麻美、今日、男と会ったろ・・。あれは、誰だ・・。俺の知らない・・。お前は俺のモンだ・・。その証拠を・・」 惇の熱い息が耳にかかる。 麻美は、あれはセンパイだ、惇は勘違いをしていると言いたかったが、麻美の熱くほてっている躰がゆうことをきかない。 弁解のかわりに、惇の背中を爪で鋭くひっかいた。 「うっ・・・」 惇がうめく。 「それなら惇も私のモノ・・・。これはその証拠・・・」 麻美が指先でひっかき傷をやさしくなでた。 惇は少し優しい目になった。 そんな惇を見て、麻美は愛しくて愛しくてたまらなくなった。 ふたりはどちらともなく唇を合わせた。 二枚の舌と舌がからまり、もつれあう。 口の端から糸がひくぐらい、お互いの口を吸っていた。 それはふたりが今まで重ねてきたどの口づけよりも激しく、淫猥なもので熱く抱き合う麻美と惇を燃え上がらせるには、十分だった。 快楽に溺れていく2人はベットに深くしずんでいった。 |
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