3年5組には、名物カップルがいる。 「恵ー!!! 待ちなさい!!」 「ブス麻美ー、ブースブース!」 +愛に口付け添えて+ そう、この2人。 恵と麻美。 寄ればけんか。 触ればけんか。 ともかく、毎日幼稚なけんかを繰り返していた。 だけど、この仲の悪い2人が、実はお互い熱烈な片思いをしているなんて・・・。 誰でも知っていた。 知らぬは本人達のみ。 好きな子に意識されたくて、ちょっかいをだす恵。 超嬉しいくせに、起こって追いかけまわす麻美。 ―本当の気持ちなんて言えない。 ―今の関係が崩れてしまうかもしれないから。 ・・・周りからすれば、とっとと告ってくっつけよ! てな感じである。 「よっ! お2人さん、お熱いねー♪」 「「誰がこんな奴と!!」」 仲が良すぎるゆえに、素直になれない。 本当は大好きなのに。 本当は伝えたいのに・・・。 「え・・・今・・・何て・・・」 「だから! お前のこと好きだって言ったんだよ!」 そう告げると、恵は屋上からでていった。 後に残された麻美は、必死で頭の中を整理する。 ―好きって・・・恵が私のことを? ―うそ・・・。本当に? ―やだ・・・信じらんない。 ―うれしい・・・。 恵の本当の気持ちが嬉しくて、自分の本当の気持ちを伝えなければと、麻美は恵を探しに行った。 昼休みも残りわずかで、教室は相変わらず騒がしく、中で恵の声がした気がして麻美はドアに手をかけた。 「えー!? お前、とうとう告ったのか!?」 ヒューヒューっと盛りあがるのを聞いて、麻美はドアを開けようとする手を止めた。 さすがにこの中に入っていくのは勇気がいる。 どうしようかと思案する麻美は、次の恵のセリフで思考を完全に停止することになる。 「バカ! そんなんじゃねーよ! 罰ゲームだよ! 香に負けたから。罰ゲームじゃなかったら、誰があんな奴・・・」 ガラッ!! 戸が勢いよく開き、そこには麻美が立っていた。 目に涙をためて。 全身に怒りのオーラをまとって。 クラス全員が言葉を失った。 もちろん、一番あせったのは恵。 「麻美・・・ごめ・・・」 「さわらないで!! 最っ低ー! あんたなんか、大っ嫌いよ!!」 キレた。 麻美がキレてしまった。 こうなると手がつけられない。 原因となった香と以下クラスメート一同は、楽しく見守ることにした。 「・・・のに・・・」 「え?」 「すごい・・・嬉しかったのに・・・」 麻美が涙声になってしまって。 恵は自分が麻美を深く傷付けたと気づく。 「・・・麻美・・・ウゲッ!」 オレも・・・と言おうとした恵に、強烈なストレートパンチ。 「この・・・電信柱!! 巨人兵! バカバカバカ!! 大っ嫌・・・んん・・・」 少し静かにさせようと、恵は口で麻美のそれをふさいだ。 離して、という言葉をのみこんで。 堅く閉ざす唇とこじ開け舌を割り入れて。 麻美は恵から逃れようともがくが、頭と腰をしっかりとつかまれ、かなわない。 恵の胸を押す手が、すがるように首に巻きつけられたころ。 ようやく恵は口を離した。 「ふー・・・。さて、と。・・・行くぞ」 恵はまだ視線のおぼつかない麻美の手を取り。 愛の逃避行。 クラスメート達を尻目に、出て行ってしまった。 麻美は、ぼろ泣き状態。 泣きじゃくる様子が可愛らしくて。 優しく抱きしめる。 そして、耳元に優しく囁く。 「うそじゃない。オレは・・・麻美が好きだよ・・・」 麻美は? と聞かれて。 「うん・・・私も、恵がすき・・・」 2人は互いに微笑むと、どちらからともなく口付けを交わした。 甘い、甘い口付けを――― ******************** 「恵ってさー。キス上手だよね。何で?」 「うっ・・・」 |
なほ様から、小説を頂きました。正直、かなり、面白いです。 甘いです。砂糖より、断然甘いです。 これくらい、甘く書けるといいなぁ〜。あたしも。 |
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