+ある雪の日の出来事+



「わぁ、クラヴィスさま〜雪が降ってますよぉ〜」
アンジェリークは窓の外を見てはしゃいだ声をあげた。
「そうか。」
たいして興味もなさそうに顔も上げずにクラヴィスは答える。
「そうかって〜雪ですよ、雪。どうしてなんでしょう?? 何かあったんでしょうか??」
アンジェリークは、一面の銀世界に喜びを隠しきれないも、珍しい雪景色に少し疑問が沸いた。
「珍しくはあるがな。聖地にとて雪も降る。」
「そうなんですか??」
聖地は特殊な障壁に覆われていで、当然のことながら、気象の制御も行われている。
「確かに気象制御はされているが、気象観測の意味もあるとかで、雨も降れば曇りもあるし雪も降る。今日がたまたまその日なのだろう。」
「へぇ〜じゃ、めずらしい日なんですね。」
言いいながらも、アンジェリークは、厚いコートを着込み、マフラー、手袋などを身につけていく。
「何をしているのだ?アンジェリーク??」
その様子を見たクラヴィスが不思議そうに問いかける。
「何って外で遊ぶ準備ですよ〜ほら、クラヴィスさまも早く〜」
補佐官になっても女王候補の頃と何ひとつ変わらず、もう目をきらきらさせている。
「何?私も行くのか??この雪の中、外で遊ぶだと? 信じられん。」
「早くいきましょうよ〜溶けてしまったら遊べませんよ?」
「仕方ないか。」
ため息をつきつつも、抗えるはずもないクラヴィスは、アンジェリークと連れ立って庭へと出る。
「うわぁ〜すごいです〜見てください、クラヴィスさま〜。」
あまり雪など見たことのないアンジェリークは大はしゃぎで、雪と戯れはじめた。
「やれやれ。」
苦笑しながらもクラヴィスは嬉しそうにはしゃいでるアンジェを、愛しそうに眺める。
「クラヴィスさま〜見てください。」
言われて差し出された手の平の上に雪で作った、可愛らしいウサギが乗っている。
「ほう、作ったのか?」
「はい。雪ダルマもいいんですけど、最初は簡単なとこからと思って。はい、クラヴィスさま。」
はいっと雪うさぎを渡され、手の平に雪の冷たさを感じるが、優しく微笑むクラヴィス。
「このままでは溶けてしまうな。」
そう呟くと、クラヴィスは雪ウサギを手に乗せたまま、一旦館に入ると、銀色のプレートを取り出し、その上にのせて庭へと戻った。
「さぁ〜て、雪ダルマをつくらなくっちゃ!!」
そして、アンジェリークはというと、妙に張り切って雪ダルマを作るべく、雪玉を転がし始めている。
「やれやれ。元気なことだ。」
傍らにちょこんと座る雪ウサギとアンジェリークを、交互に眺めながら微笑む。
「クラヴィスさま〜一緒に作りましょうよぉ〜」
アンジェリークが大きく手を振る。
「分かった、今行く。」
そして数時間後、クラヴィス邸の庭には、クラヴィスとアンジェリークの作った大きな雪ダルマが出現した。

やがて、ふたりは居間へと戻り、暖を取りながら、銀のプレートに乗った大小二つの雪ウサギを、飽くことなく眺めていた。
そして、時刻すでに夜。
「ふぅ、今日は本当に楽しかったです。たまには雪もいいものですよね。あ、それに見て下さい〜月が雪に反射してとても綺麗です〜。」
ふっと窓の外を見たアンジェリークは窓辺に駆け寄る。
「そうだな。たまには雪もいいものだな。」
クラヴィスはそっとアンジェリークに寄り添う。
「ほんとですよね〜。なんだかロマンチックです。あまり雪なんかつもったことなかったから、見たことなかったです。綺麗〜〜。」
「ふふ。そなたが側にいるからこそなお美しいのだがな。」
「えっ...クラヴィスさま?」
「いや。こうして、雪景色を眺めるのも悪くはないな、アンジェ。」
「はい、クラヴィスさま。私、とっても幸せです。」
クラヴィスは、アンジェリークの肩を抱き寄せ、アンジェリークはクラヴィスに寄りかかる。
ふたりのらぶらぶぶりにテーブルの上で、 雪ウサギが少し溶けかけていた。

その頃...。

なにやら王立研究院は上に下にの大騒ぎの最中であった。
「エルンスト、原因は分からないのか。この突然の大雪の。」
「あ、ジュリアスさま。ただいま誠意調査中ですが、計器のどこにも異常はなく、この現象の原因もまったくもって謎に包まれています。」
「おかしいわね、私にも分からないわ。」
ジュリアスの後ろからロザリアが呟く。
「へ、陛下!陛下にも原因に心当たりがないとすると、もはや手のうちようがないかと。いかが致しますか、ジュリアスさま。」
「うむ。しかし、このままにしておくわけにもいくまい。
この程度の雪なれば、被害はそうはないだろうが、このような現象が度々起こってはいろいろと支障もでるだろうし、何より、降る量が増えれば危険だ。」
「おっしゃるとおりで。なんとか、原因の究明に努めます。」
「よろしく頼む。」

実は、気象制御でもなんでもなかった雪を巡って、こんな大騒ぎになっていたことを二人は知る由もない。



「おもちゃ箱」の管理人でいらっしゃる和緒様から、キリ番プレゼントを頂きました。
クラヴィス様とアンジェのラブラブなものをとお願い。
かなり、素敵です。嬉しいです。ラブラブです♪



























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