+姫初め+ |
「なんだかあわただしかったですね、クラヴィスさま」 「そうだな、疲れたか?」 「いいえ、そうでもないですけど。でも、聖地のお正月がこんなにあわただしいとは思いませんでした。」 新年の挨拶にぞくぞくと訪れていた人の波がようやくひと段落ついた時には、すでに日付が変わろうとしていた。 「ふっ、去年までは静かなものだったのだがな。今年はやけに客が多い。これではゆっくりと過ごせんな。来年からはどこか静かなところへ、二人で避難するとするか。」 クラヴィスがうんざりしたようにそう告げると、 「えぇ〜いいんですか??」 驚いたようにアンジェリークは目を見張る。 「別に構わぬだろう。公務でもあるまいし。 なんなら明日から避難してもよいぞ?」 クラヴィスは苦笑しながら答える。 「う〜ん、そうですね。私も本当は、クラヴィスさまとゆっくりしたいです。初めてのお正月ですし。」 ちろりと舌をのぞかせてアンジェリークが答える。 クラヴィスはアンジェリークの仕草を見て柔らかく微笑む。 「そうか。では明日から少し雲隠れすることにするか。」 「本当にだいじょうぶでしょうか?」 心配そうにアンジェリークは尋ねる。 「なに、ゼフェルやオリヴィエなどはもうすでにいないぞ。」 「え、そうなんですか??あ、そういえば...そんなこと言ってました。」 他にも煩わしいことがキライな守護聖は元日の女王陛下への謁見の後、速やかに雲隠れを決め込んでいた。 「正月など聖地にいても今日のように煩わしいだけだからな。」 「いなくても大丈夫なら、ゆっくりしたいです。」 ようやくホッとしたようにアンジェリークは答える。 「では、明日の朝早くに出かけるとしよう。」 クラヴィスはふわりと微笑むと、おもむろにアンジェリークを引き寄せ、そっと囁く。 「今日は姫初めなのだそうだが。」 いつの間にか零時を回っている。 「???......あっ。」 不思議そうな顔をしながらも少ししてから思い当たったのか真っ赤になる。 「構わぬか?」 「......はい。」 アンジェリークは消え入りそうな声で呟くとそっと頷いた。 クラヴィスはアンシェリークを優しく包み込むように抱きしめると、 そっと唇にキスを落とす。 |
「おもちゃ箱」の管理人でいらっしゃる和緒様から年賀状ということで、小説を頂きました。 アンジェリークとクラヴィス様です。 かなり、ラブラブですね♪ かなり、ウハウハしながら読んでしまいました。 |
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